心臓病について

 心臓病は、大きく先天性と後天性の2つに分けられます。生まれながらの心臓病を先天性心疾患といい、それ以外のものを後天性心疾患といいます。

 犬や猫の先天性心疾患は、心臓内の壁に穴が開いている心室中隔欠損症、心房中隔欠損症や、心臓から出る大きな血管に問題がある動脈管開存症、肺動脈狭窄症、大動脈狭窄症が比較的多いものです。その他には、心臓内の弁の異常のエプスタイン奇形、三尖弁や僧帽弁の形成異常、2つ以上の異常が重なったファロー四徴症、両大血管右室起始症などがあります。各種の心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、不整脈源性心筋症など)も遺伝的な原因を含む先天性心疾患と考えます。

 犬の後天性の心臓病で最も多いものは、慢性弁膜性心疾患(僧帽弁、三尖弁)です。道南地域では、一昔前、犬糸状虫感染症(フィラリア症)による心臓病がしばしばみられましたが、フィラリア予防が徹底されたために、現在では稀にしかみられなくなりました。 また動物の高齢化により、心膜疾患として特発性出血性心膜疾患、収縮性心膜炎、中皮腫などの腫瘍性疾患の診断機会も多くなりました。  

 犬においては、人間の心臓病の傾向とは少し異なり、狭心症や心筋梗塞という虚血性心疾患は稀にしか報告されていないという現状があります。しかし、食生活の変化と高齢化により、高血圧や高脂血症などが引き金となり、虚血性心疾患の増加が危惧されますので、ますます飼い主様の責任は重くなります。 犬に比較して猫では、肥大型心筋症や拘束型心筋症という心筋の肥大を特徴とする心臓病が最も多くみられます。

心臓の精査希望の飼い主さまへ

 犬では7、8歳を過ぎると4分の1(25%)で心臓に異常をもっていると言われています。その4分の3(75%)は僧帽弁閉鎖不全症という慢性の弁膜性心疾患です。当院のデータでは、心臓疾患が見つかってからの余命の平均は3年です。適切な時期に治療を早く開始することで、生存期間が延びることも少しずつ報告されており、早めの継続した治療により、診断後5年以上元気に生活している犬や猫も増加しています。

かかりつけの動物病院で心臓病または心臓に問題があると診断された動物の飼い主さまは、多くの不安を抱いていると思います。 心臓病の不安を払拭できない飼い主様のために紹介以外での検査も実施しております。どんな病気でも、治療方法は一様ではなく、テーラーメイドの医療が理想です。また、心臓病も少しずつ変化(多くは悪化)しますので、治療変更のタイミングなどは、心臓病に造詣の深くない獣医師では正直無理だと思っています(私も日々、頑張って知識やスキルをアップデートしています)。

通常の心臓の精査は、

・ 身体一般検査(体重、体温、心拍数、呼吸数、心雑音の評価などを含む) ・ 血圧測定 ・ 血液一般検査、血液化学検査、血液ガス分析 ・ 心電図検査 ・ 胸部単純レントゲン検査 ・ 心臓超音波/ドプラ検査 を基本として評価しております。これらで診断に不備がありそうなものは、心臓カテーテル検査やホルター心電図検査(24時間)も考慮されます。

より良い治療は、正確な診断から